登録支援機関とは?役割や選び方、特定技能外国人に必要な支援も解説

1号特定技能外国人をスムーズに受け入れたい企業にとって、さまざまな支援を委託できる登録支援機関の存在は重要です。本稿では、登録支援機関の基本的な役割から、効果的な選び方まで解説します。

※2023年12月現在、登録支援機関が大きく関わる特定技能制度は見直しに向けて審議が進められています。移行予定の新制度「育成就労制度(仮称)」については以下の記事で解説しています。

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登録支援機関とは

登録支援機関とは、1号特定技能外国人の受け入れ企業(特定技能所属機関)に代わって、さまざまな支援を行う機関のことです。

特定技能制度において、特定技能所属機関には1号特定技能外国人支援計画を作成し、それに沿った生活面・就労面のサポートが義務付けられています。

しかし、適切なサポートには専門知識が必要であり、自社で行うことが困難なケースも少なくありません。そのようなときは、登録支援機関に支援計画の一部または全ての実施を委託することができます。

なお、登録支援機関は「1号特定技能外国人への支援を適切に実施できる体制がある」「出入国在留管理庁から登録を受けている」など要件を満たせば、社労士や行政書士、営利法人など個人や法人を問わず活動できます。

参考:弁護士法人Global HR Strategy 外国人雇用相談室 

1号特定技能外国人に対する支援内容

1号特定技能外国人に対する支援は、特定技能所属機関が必ず行わなければならない義務的支援」と、行うことが望ましい任意的支援」があり、どちらも登録支援機関に委託可能です。それぞれの内容を見ていきましょう。

義務的支援

特定技能所属機関が実施しなければならない義務的支援は10項目あり、1号特定技能外国人支援計画に全項目の記載が必要です。義務的支援の内容は下図の通りです。

出典:出入国在留管理庁「「特定技能外国人を受け入れる際のポイント」」,2021年12月公表,p8,https://jsite.mhlw.go.jp/shiga-roudoukyoku/content/contents/001101375.pdf(閲覧日:2023年11月13日)

義務的支援のうち1つでも実施していない場合は、1号特定技能外国人支援計画が適正に実施されていないと見なされるため注意が必要です。

ただし、全ての支援を登録支援機関に委託すれば、特定技能所属機関が満たすべき支援体制の基準を満たしたと見なされます。

任意的支援

任意的支援は、1号特定技能外国人が日本で安心して就労できるよう、できる限り取り組むことが望ましいとされています。それぞれの内容を確認してみましょう。

任意的支援の項目主な内容
事前ガイダンス義務的支援として提供する情報の他、「入国時の日本の気候や適切な服装」「本国から持参すべき物、持参できない物」「入国後、当面必要となる生活費とその用途」「特定技能所属機関などから支給される物」など、生活に必要な情報を提供すること
出入国する際の送迎技能実習2号などから特定技能1号へ在留資格を変更し、日本に在留中の外国人材を雇用する場合は、送迎の必要はない ただし、送迎しない場合は、交通手段や緊急時の連絡方法を外国人材本人に伝えておくことが望ましい
住居確保・生活に必要な契約・1号特定技能外国人の雇用が終了し、次の受け入れ先が決まるまでの間、外国人材の生活に支障が出ないよう住居の確保を支援すること ・生活に必要な契約の変更・解約に際し、各手続きの補助を行うこと
日本語学習の機会の提供・支援責任者などの職員が1号特定技能外国人を対象とする日本語指導や講習の企画・運営を行うこと ・1号特定技能外国人に対して日本語能力試験の受験支援や、資格取得者への優遇措置などを取り入れること ・日本語教室の月謝など、日本語学習にかかった費用の全部または一部を特定技能所属機関が負担し、経済的支援をすること
相談・苦情への対応・1号特定技能外国人が利用しやすいよう、相談窓口の情報を一覧にするなどして、あらかじめ手渡しておくこと ・社内に相談窓口を設けたり、相談・苦情専門の電話番号やメールアドレスを設置したりすること ・1号特定技能外国人が、仕事または通勤によって病気にかかったり、死傷したりした場合、その家族などに対して労災保険制度の周知や必要な手続きの補助をすること
日本人との交流促進・1号特定技能外国人が各行事への参加を希望する場合、勤務時間を配慮したり、有給休暇を付与したりして参加できるようにすること ・1号特定技能外国人が地域社会で孤立しないよう、日本人との交流の場を設けること
定期的な面談・行政機関への通報自ら通報しやすいよう、関係行政機関の窓口情報を一覧にして1号特定技能外国人に手渡しておくこと

任意的支援の位置付けは義務的支援の補助です。そのため、必ずしも行う必要はありません。ただし、1号特定技能外国人支援計画に記載した場合は全て実施することが義務付けられています。

登録支援機関を選ぶ際のポイント

登録支援機関を選ぶ際は、対応言語・所在地・費用の3つのポイントに注目することが大切です。

1号特定技能外国人の母国語に対応しているか

コミュニケーションを円滑に進めるためにも、受け入れる1号特定技能外国人の母国語に対応できるスタッフがいる登録支援機関を選びましょう。

また、これまでの対応実績や、自社で希望するサポートは対応範囲内かなど、細かく確認することも重要です。

適切な委託費用か

登録支援機関によって委託費用に差があるため、複数の登録支援機関に見積もりを求め比較検討することがおすすめです。

検討する際は支援の内容費用確認するのはもちろん、コンプライアンスを徹底しているかもチェックしてください。

所在地は近場か

スムーズにサポートが受けられるよう、自社の近場にある登録支援機関を選ぶことをおすすめします。可能であれば、同じ区や市内にある方がよいでしょう。

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登録支援機関に委託せずに支援することは可能か

1号特定技能外国人への支援は、「全てを登録支援機関に委託する」「一部を登録支援機関に委託する」「自社で全てを行う」の3つのパターンがありますが、初めて1号特定技能外国人を受け入れる場合は、登録支援機関に全てを委託するのが一般的です。

なぜなら、支援を全て自社で行ったり、一部のみ登録支援機関に委託したりするためには、支援体制の基準を満たさなければならないからです。基準の内容は、支援責任者・支援担当者の設置中立性が保たれた適正な支援計画の実施など、多岐にわたります。

基準を満たすには、支援責任者と支援担当者の選任や、受け入れる1号特定技能外国人の母国語に対応できる人材の用意など、さまざまなコストがかかります。そのため、初めて1号特定技能外国人を受け入れる場合、支援は登録支援機関に委託するのが無難といえるでしょう。

参考:弁護士法人Global HR Strategy 外国人雇用相談室

参考:
出入国在留管理庁
「特定技能ガイドブック~特定技能外国人の雇用を考えている事業者の方へ~」, (閲覧日:2023年11月17日)
「特定技能外国人受入れに関する運用要領」,2023年8月公表, (閲覧日:2023年11月17日)
「「特定技能外国人受け入れる際のポイント」」,2021年12月公表, (閲覧日:2023年11月17日)

法務省
「1号特定技能外国人支援に関する運用要領―1号特定技能外国人支援計画の基準についてー」,2023年4月20日公表, (閲覧日:2023年11月17日)

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