【提出は義務】外国人雇用状況届出書とは?記入内容や提出方法を解説

外国人雇用状況届出書は、外国人労働者を雇用する企業に対して提出が義務付けられた書類のことで、提出を怠ると罰則の対象となる恐れがあります。

本稿では、外国人雇用状況届出書とは?という基本から、記入内容や提出期限、提出方法まで解説します。

なお、2024年1月現在、外国人雇用制度に大きく関わる技能実習制度・特定技能制度の「育成就労制度(仮)」への移行が検討されています。本制度については以下の記事で詳しく解説しています。

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外国人雇用状況届出書とは、外国人の雇い入れ・離職時に必要な書類

外国人雇用状況届出書とは、外国人の雇い入れ・離職時事業主がハローワークに提出することが義務付けられている書類のことです。

なぜ提出が義務付けられているかというと、外国人労働者の雇用状況を把握するためです。

国が各事業所の外国人労働者の雇用状況を把握することで、外国人労働者の安定した雇用の促進労働環境の改善再就職支援などを行うことができます。

なお、外国人労働者の雇用管理の改善は外国人労働者を雇用する事業主にとって努力義務とされているため、法令を遵守し、働きやすい環境を整えましょう。

参考:弁護士法人Global HR Strategy 外国人雇用相談室

外国人雇用状況届出書の対象となる外国人

外国人雇用状況届出書の対象となるのは、「外交」「公用」以外の在留資格を持つ外国人労働者です。ただし、「特別永住者」は対象外のため、外国人雇用状況届出書を提出する必要はありません。

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外国人雇用状況届出書の提出方法

外国人雇用状況届出書の提出方法は、「ハローワークに提出」「インターネットで提出」の2パターンです。 具体的な提出方法は、外国人労働者が雇用保険の被保険者に該当するか否かで異なります。

 外国人労働者が雇用保険被保険者であるハローワークに提出インターネットで提出
該当する雇用保険の適用を受けている事業所を管轄するハローワークに提出「e-Gov」から申請
該当しない外国人労働者が勤務する支店や工場などを管轄するハローワークに提出「外国人雇用状況届出システム」から申請

ただし、外国人雇用状況届出システムは、これまでに一度でも外国人雇用状況届出書をハローワークに提出したことがあると、インターネット上でユーザーID・パスワードを取得できません。

インターネットでの申請に切り替える場合は、事業所を管轄するハローワークにお問い合わせください。

外国人雇用状況届出書の提出期限

外国人雇用状況届出書の提出期限も、外国人労働者が雇用保険の被保険者かそうでないかによって異なります。

外国人労働者が雇用保険被保険者である提出期限
該当する【雇い入れ時】
雇い入れ日の翌月10日まで
【離職時】
離職した日の翌日から10日以内
該当しない雇い入れ・離職の翌月末日まで

期日を過ぎないよう注意し、万が一過ぎてしまった場合は管轄のハローワークに問い合わせましょう。

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外国人雇用状況届出書の記入方法

ここでは、外国人雇用状況届出書の記入方法を見ていきます。

雇用保険の被保険者の場合

外国人労働者が雇用保険の被保険者の場合、雇い入れ時に提出する「雇用保険被保険者資格取得届(様式第2号)」、離職時に提出する「雇用保険被保険者資格喪失届(様式第4号)」外国人雇用状況届出書を兼ねています。そのため、別途手続きは不要です。

雇用保険被保険者資格取得届(様式第2号)における外国人労働者ならではの記入箇所は、赤線で囲ってある17~23です。氏名や在留カード番号、在留資格、資格外活動許可の有無、国籍・地域、在留期間などを記入します。

出典)厚生労働省「外国人雇用はルールを守って適正に」,P5,(閲覧日:2023年12月9日)

雇用保険被保険者資格喪失届(様式第4号)の場合は、赤線で囲まれた箇所に住所や国籍、在留資格などを記入します。

出典)厚生労働省「外国人雇用はルールを守って適正に」,P6,(閲覧日:2023年12月9日)

雇用保険の被保険者ではない場合

外国人労働者が雇用保険の被保険者ではない場合雇い入れ・離職時に「外国人雇用状況届出書(様式第3号)」を提出します。

記入箇所は赤線で囲まれた部分で、内容は氏名、在留資格、在留期間、国籍・地域、在留カード番号、雇い入れ・離職の年月日などです。

出典)厚生労働省「外国人雇用はルールを守って適正に」,P7,(閲覧日:2023年12月9日)

いずれの場合も記入の際は、外国人労働者に在留カードやパスポートを提示してもらい、間違えないようにしましょう。

参考:弁護士法人Global HR Strategy 外国人雇用相談室

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外国人雇用状況届出書を提出しないと罰金の対象になるので注意

外国人雇用状況届出書を期日までに提出しないでいると、指導・勧告の対象になるとともに、「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律第40条1項」に基づき30万円以下の罰金の対象となります。

外国人労働者を短期アルバイトとして雇用した場合も提出が義務付けられているため、忘れないようご注意ください。

なお、派遣労働者を雇用した場合も提出が義務付けられていますが、派遣会社が提出するため受け入れ企業側が手続きする必要はありません。

参考)
厚生労働省「外国人雇用状況の届出について」(閲覧日:2023年12月18日)
厚生労働省,都道府県労働局,ハローワーク「外国人雇用はルールを守って適正に」2023年6月公表(閲覧日:2023年12月18日)
G-GOV「昭和四十一年法律第百三十二号労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」(閲覧日:2023年12月18日)

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