留学生アルバイト雇用の注意点やメリットを【ポイント解説】
「留学」は学業が目的の在留資格のため、資格外活動許可を受けた留学生でなければアルバイト雇用できません。また、資格外活動許可を受けていても、就労時間の上限や就ける業務などが定められています。
日本人学生と同じような感覚で雇用すると法令違反につながりかねないので、雇用のルールを知っておくことが必要不可欠です。
本稿では、留学生アルバイト雇用の注意点やメリットなど、企業が知っておきたいポイントを解説します。
目次
留学生が資格外活動許可を受けていれば、アルバイト雇用できる
留学は学業を目的とした在留資格のため就労が認められませんが、資格外活動許可を受けていれば留学生でもアルバイト雇用できます。
資格外活動許可とは、現在保有している在留資格の活動範囲外で、報酬を受ける活動をする際に必要となる許可です。
資格外活動許可はアルバイトなどに必要な包括許可と、インターンシップなどで必要な個別許可の2種類があり、留学生アルバイトは包括許可を受けるのが一般的です。
参考:弁護士法人Global HR Strategy 外国人雇用相談室
留学生をアルバイト雇用するメリット
留学生アルバイトを雇用するメリットとしては、人手不足の解消が挙げられます。特に飲食業界など日本人のアルバイトが集まりにくい業界の場合、留学生を雇用することで人材確保につながりやすいでしょう。
また、留学生をアルバイト雇用することで、職場の多様性を促進するメリットもあります。外国人ならではの新しいアイデアが生まれる他、多言語対応が可能となり、接客業においては外国人観光客の集客につながる可能性があるでしょう。
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留学生アルバイトで多いのはベトナム出身者、就労先は宿泊業や飲食業
2022年の調査(厚生労働省「「外国人雇用状況」の届出状況表一覧(令和4年10月末現在)」, 2023年1月27日公表)によると、資格外活動許可を受けた外国人材33万910人のうち約8割に当たる25万8,636人が留学の在留資格を持っており、中でも多いのがベトナム人留学生の9万1,959人です。
また、アルバイトやインターンなど、留学生の就労先で最も多いのは「宿泊業、飲食サービス業(8万9,709人[34.7%])」で、次に「卸売業、小売業(5万4,222人[21.0%])」が続きます。
留学生アルバイトを雇用する際の注意点
留学生アルバイトは適正に雇用しないと法令違反になる可能性があるため、雇用の際の注意点を確認しておきましょう。
労働時間は週28時間以内が原則
留学生が資格外活動許可を受けていれば、基本は週に28時間以内、長期休暇などで授業がない時期に限り1日に8時間以内の範囲でアルバイトができます。
なお、アルバイトを掛け持ちしている場合も労働時間の上限は変わりません。全アルバイトの勤務時間を合算したときに超過しないよう、勤務時間の管理が必要です。
業種によってはアルバイト雇用できない
留学生は、風俗営業または風俗関係営業が含まれている営業所でアルバイトをすることはできません。風俗営業には、キャバクラやスナックなどの他、マージャン店やパチンコ店、ゲームセンターなども含まれます。
留学生をアルバイト雇用する際に必要な手続き
留学生アルバイトを雇用する際は、面接で資格外活動許可の有無を確認する他、雇用・離職時に「外国人雇用状況の届出」も必要です。それぞれの内容を確認しておきましょう。
在留カードで資格外活動許可の有無を確認する
雇用時は在留カードの原本を提示してもらい、資格外活動許可を受けているか確認しましょう。
資格外活動許可を受けていれば、在留カード裏面の「資格外活動許可欄」に「許可:原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く」という記載があります。
出典:出入国在留管理庁「在留カードとは?」(閲覧日:2023年11月21日)
資格外活動許可を受けていない場合は、留学生に取得を申請してもらいましょう。手続きの標準処理期間は2週間~2カ月とされており、資格外活動許可が下りるまではアルバイト雇用できません。
雇用・離職時に「外国人雇用状況の届出」をする
外国人の雇用・離職時には、ハローワークに「外国人雇用状況の届出」をすることが義務付けられています。これは正規社員・非正規社員問わないため、留学生アルバイトの雇用・離職時も提出が必須です。
参考:弁護士法人Global HR Strategy 外国人雇用相談室
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留学生を違法にアルバイトさせた場合の罰則
留学生を風俗店でアルバイトさせたり、週28時間以内の上限を超えて働かせたりすると、留学生は不法就労、雇用主は不法就労助長罪に問われます。
不法就労助長罪が適用されると、3年以下の懲役、300万円以下の罰金またはその両方が科せられる恐れがあるため、ルールを守って雇用することが重要です。
また、雇用・離職時に「外国人雇用状況の届出」をしていない場合、指導・勧告の対象になる他、30万円以下の罰金が科せられる可能性があるため、届け出を忘れないようご注意ください。
いずれも知らなかったでは済まされないため、eラーニングなどを活用して留学生アルバイトの適切な雇用方法を学び、企業内で情報共有することをおすすめします。
留学生アルバイトに週28時間以上働いてほしい場合
留学生アルバイトに週28時間以上働いてもらうことはできないので、どうしても長時間雇用したい場合は、他の在留資格を持つ外国人材の雇用を検討しましょう。
ただし、ホワイトカラーの仕事に就くことが認められている「技術・人文知識・国際業務」のように、在留資格によっては就労できる活動の範囲が制限されている場合があります。そのため、自社の業務内容に合った在留資格を持っているか、確認することが重要です。
特に、飲食店のホールスタッフといった、産業・サービスの現場での業務は「永住者」や「日本人の配偶者等」「特定技能」など、一部の在留資格を持つ外国人材にしか認められていないためご注意ください。
このような職種で即戦力となる外国人材を雇用したい場合は、技術力と日本語能力が一定水準以上にあることが担保された特定技能外国人を雇用するとよいでしょう。
参考:
出入国在留管理庁
「資格外活動許可について」(閲覧日:2023年11月24日)
「在留資格一覧表」(閲覧日:2023年11月24日)
「「留学」の在留資格に係る資格外活動許可について」(閲覧日:2023年11月24日)
「外国人を雇用する事業主の皆様へ不法就労防止にご協力ください。」(閲覧日:2023年11月24日)
「資格外活動許可申請」(閲覧日:2023年11月24日)
「特定技能ガイドブック~特定技能外国人の雇用を考えている事業者の方へ~」(閲覧日:2023年11月24日)
厚生労働省
都道府県労働局,ハローワーク「外国人雇用はルールを守って適正に」(閲覧日:2023年11月24日)
東京労働局:「Q4.留学生をアルバイトとして雇うことは可能ですか。」(閲覧日:2023年11月24日)
警視庁:「風俗営業等業種一覧」(閲覧日:2023年11月24日)