【外国人を雇うには?】必要な手続きや注意点、メリットなどを解説

外国人を雇うには、在留資格や雇用に関する手続きなど、基本的な知識を持っておくことが必要不可欠です。

本稿では、就労できる在留資格や外国人を雇うメリット・デメリット、募集方法、雇用の手続き・注意点などについて網羅的に解説します。

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外国人を雇うには就労できる在留資格か確認が必要

日本に滞在する外国人は、在留資格によって活動の範囲が決められています。そのため、外国人を雇うには就労できる在留資格を持っているか確認が必要です。

在留資格は全29種類あり、4つのカテゴリーに大別されます。

在留資格のカテゴリー特徴代表的な在留資格
就労が認められる在留資格決められた範囲内で報酬を受ける活動が可能技術・人文知識・国際業務、特定技能、高度専門職など
身分・地位に基づく在留資格就労活動に制限なし、どのような職種でも就労可能永住者、日本人の配偶者等、定住者、永住者の配偶者等
就労の可否は指定される活動によるもの他の在留資格ではできない活動をする外国人に対して、法務大臣が個々に活動を指定、指定書で就労が許可されていれば、その範囲内で就労可能外交官等の家事使用人、ワーキング・ホリデーなど
就労が認められない在留資格就労不可、ただし資格外活動許可を受けた場合は原則週に28時間まで就労可能留学、家族滞在など

外国人を雇う際は、面接で在留カードまたはパスポートの提示を求め、就労できる在留資格を持っているか、資格外活動許可により就労可能かを確認しましょう。

人材確保が困難な業界では「特定技能外国人」が活躍

就労できる在留資格の中でも、近年人手不足が顕著な業界で注目されているのが2019年に新設された「特定技能」です。

特定技能は、介護や建設など、労働力不足が深刻化する産業分野において一定の専門性と技能を有する外国人に付与される在留資格です。

特定技能外国人は生活や業務に必要な日本語能力を有している他、決められた範囲内で就労可能な在留資格では原則認められない産業・サービスの現場で就労できます

そのため、特定技能外国人を雇用することで、即戦力として活躍を期待できるでしょう。

尚、特定技能制度と技能実習制度は改正の審議が行われています。移行予定の新制度「育成就労制度(仮称)」については以下の記事で解説しています。

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外国人を雇うには法令順守が企業側の義務

外国人にも日本人と同様に日本の労働関係法令社会保険関係法令などが適用されるため、これらを遵守した上で働きやすい環境を整える必要があります。

待遇は日本人と同等以上とし、労働時間が適正になるよう管理しましょう。外国人が理解できるよう、就業規則などの書類は外国人本人の母国語で作成するなど、工夫も求められます。

また、外国人の雇い入れ離職時にはハローワークへ「外国人雇用状況の届出」を行うなど、提出が義務付けられた書類も多々あるため、手続きについての把握も必要です(主な手続きについては7章で説明します)。

外国人を雇うメリット・デメリット

外国人を雇う主なメリット・デメリットは下表の通りです。

メリット

  • 人手不足の解消 ・優秀な人材の確保
  • 職場の活性化
  • 海外進出の足掛かり
  • 多言語対応の実現
  • 就労環境の整備費用が助成金の対象

デメリット

  • 言語や文化の違いによるミスコミュニケーション
  • 関係法令が多く、雇用管理が煩雑
  • 採用から就労開始までに時間がかかる

外国人雇用はメリットが多い一方、外国人ならではの課題もあるので、受け入れの際はそれらを理解した上で社内体制を整える必要があります。

社内体制を整えるためには、外国の受け入れ研修などを実施することで社内のリテラシーを向上することができるでしょう。

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参考:弁護士法人Global HR Strategy 外国人雇用相談室
外国人雇用で企業が活用できる助成金と補助金は?【わかりやすく解説】
外国人労働者雇用のメリット4つ!成功例や受入れの注意点も解説

外国人を雇う際の主な募集方法

外国人を雇いたい場合、下記の方法で採用活動を行うのが一般的です。

  • 人材紹介サービスの利用
  • 公的サービスの利用
  • 大学と連携
  • 自社サイトで募集
  • 知り合いからの紹介

人材紹介サービスは費用がかかりますが、外国人雇用専門のサービスを選べば、採用活動を効率的に行えます。

一方、ハローワークなどの公的サービスは費用がかかりませんが、担当者によって知識に幅がある可能性があります。

留学生を新卒採用したい場合は、大学に求人票を送り採用活動を行うのも効果的です。

自社サイトで募集する方法もありますが、応募者が集まるとは限らないため、採用に時間がかかる恐れがあります。

社内に外国人従業員が既にいる場合は、知り合いの外国人を紹介してもらうのもよいでしょう。

参考:弁護士法人Global HR Strategy 外国人雇用相談室

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外国人を雇うまでの一般的なプロセス

外国人を雇う際は、受け入れまでに下記のプロセスが発生します。

人材ニーズの精査どのような人材が必要か、職種や人物像を明確化
キャリアプランの構築求める人材像に合わせてキャリアプランを構築
採用活動求人を出し、応募者を選考
在留資格の確認応募者が必要な在留資格を取得していること、または取得の見込みがあることを確認
内定応募者が必要な在留資格を取得しているか、取得できそうであれば、雇用契約を締結
在留資格に関する申請内定者の状況に合わせて、在留資格の取得や変更の手続きを行う

在留資格に関する手続きは、新たに取得する場合1~3カ月変更する場合2週間~1カ月標準処理期間とされています。

必要な在留資格を取得できていないうちは雇用できないため、入社日から逆算して採用活動を行いましょう。

参考:弁護士法人Global HR Strategy 外国人雇用相談室

外国人を雇うために必要な手続きと主な書類

外国人を雇う際は、受け入れまでに複数の手続きが必要になります。主な手続きと関連書類を確認しておきましょう。

必要な手続き・書類概要
就労資格証明書外国人が現在持っている在留資格において業務内容が活動範囲内であることを企業側に証明する書類 (主に転職時に使用され、提出は任意)
労働条件通知書外国人に対し労働者としての権利を守るため、雇用契約を結ぶ際に企業側が発行、外国人本人が理解しやすい言語で作成するのが望ましい
在留資格認定証明書交付申請海外在住の外国人を採用する場合、雇用契約の締結後に企業側が地方出入国在留管理局に在留資格の取得を申請
雇用保険被保険者資格取得届雇用する外国人が雇用保険の被保険者に該当する場合、企業側がハローワークに提出
外国人雇用状況届出書外国人の雇い入れ、離職時に企業側がハローワークに提出
(ただし雇用保険の被保険者の場合、雇用保険被保険者資格取得届、または雇用保険被保険者資格喪失届が外国人雇用状況届出書を兼ねるので提出不要)
住居地の届け出外国人が日本に新規入国、または日本国内で引っ越しをした場合、住居地の市区町村の窓口に本人が届け出る
在留期間更新許可申請外国人本人が、付与された在留期間の満了前に地方出入国在留管理局で在留期間の更新を申請

住居地の届け出や在留期間更新許可申請など、外国人本人が行う手続きの場合は、期日までに間に合うよう企業側がアナウンスする他、必要であれば申請をサポートするとよいでしょう。

特定技能の場合は支援計画の作成・実施も必要

在留資格「特定技能1号」を持つ外国人を雇う場合は、前述の手続きに加えて支援計画の作成・実施も必要です。

支援内容は住居の確保公的手続きなどへの同行生活オリエンテーション事前ガイダンスの実施など多岐にわたります。

自社で行うのが困難な場合は、登録支援機関に支援計画の実施を委託するとよいでしょう。

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外国人を雇う際に必要な受け入れ準備

外国人を雇う際は、彼らが安心して働けるよう社内体制を整える必要があります。主な取り組みは下記の通りです。

  • 社内でコンプライアンス意識の醸成
  • 公正で分かりやすい評価制度の構築
  • 外国人従業員と会話する際は「やさしい日本語」を使用
  • 外国人従業員の孤立を防ぐため、メンター制の導入や相窓口の設置
  • 生活必需品の準備や公的手続きへの同行など、生活面でのサポート
  • お祈り部屋の設置など、外国人従業員の宗教や文化に合わせた対応

外国人従業員と日本人従業員が互いに歩み寄ることで、社内のコミュニケーションが活性化しパフォーマンスの向上を期待できるでしょう。

参考:弁護士法人Global HR Strategy 外国人雇用相談室
外国人労働者が働きやすい労働環境の作り方 具体的なステップを解説
「やさしい日本語」とは 作り方・言い換えに役立つポイント集付き!

参考)
出入国在留管理庁
在留資格一覧表」(閲覧日:2024年1月30日)
参考資料在留資格一覧表」(閲覧日:2024年1月30日
資格外活動許可について」(閲覧日:2024年1月30日
特定技能制度」(閲覧日:2024年1月30日)
特定技能ガイドブック~特定技能外国人の雇用を考えている事業者の方へ~」(閲覧日:2024年1月30日)
在留資格認定証明書交付申請」(閲覧日:2024年1月30日)
在留資格変更許可申請」(閲覧日:2024年1月30日)
就労資格証明書(入管法第19条の2)」(閲覧日:2024年1月30日)
新規上陸後の住居地の届出(中長期在留者)」(閲覧日:2024年1月30日)
住居地の変更届出(中長期在留者)」(閲覧日:2024年1月30日)
在留期間更新許可申請」(閲覧日:2024年1月30日)
特定技能外国人受入れに関する運用要領」,2023年8月公表, (閲覧日:2024年1月30日)

東京外国人雇用サービスセンター
知っておくべき日本の労働関係法令等」(閲覧日:2024年1月30日)
その他の労働者のための保険制度について」(閲覧日:2024年1月30日)

厚生労働省
外国人の方に人事・労務を説明する際にお困りではないですか?~外国人労働者の人事・労務に関する3つの支援ツールを作成しました~」(閲覧日:2024年1月30日)
事業主の方のための雇用関係助成金」(閲覧日:2024年1月30日)
外国人の方を雇い入れる際には、就労が認められるかどうかを確認してください。」(閲覧日:2024年1月30日)
外国人の採用や雇用管理を考える事業主・人事担当者の方々へ 外国人の活用好事例集~外国人と上手く協働していくために~」(閲覧日:2024年1月30日)

厚生労働省,都道府県労働局,ハローワーク
外国人雇用はルールを守って適正に」,2023年6月公表, (閲覧日:2024年1月30日)

厚生労働省,都道府県労働局,労働基準監督署
外国人労働者向けモデル労働条件通知書」(閲覧日:2024年1月30日)

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